<開会のあいさつ:前田(MLK5) 省略>
<講師紹介:高橋(MLK5) 省略>
<司会:中村(MLK5) 省略>
<以下の青字部分 下村健一氏の講演内容>(以下敬称略)

【1】メディアという存在の膨張
お手元のB4の紙を開いていただけますか。ここで早速ですが,みなさんやってみてください。ここに6項目並んでいるうち,あなたが自分の目や耳で直接,見聞きして知った事柄がありましたら○印を付けてください。それから,だれか友だちとか家族とか人から伝聞で聞いて知ったことには◎。メディアを通じて知ったことには●を付けてください。早速お願いします。

1)北朝鮮拉致被害者5人が今帰国中であること
2)地元選出の国会議員の名前
3)松井選手が巨人軍退団・メジャー挑戦
4)我が子の好みの食べ物
5)ノーベル賞受賞者・田中さんがサラリーマンであること
6)この講演会が開かれること


マルは付け終わりましたか?直接見聞きして知ったことは○,例えばノーベル賞受賞者・田中さんと直接の知り合いで,サラリーマンだと知っている場合には○です。地元の国会議員も直にその人と会って名前を知っているんだったら○です。そうじゃなくて,街に貼ってあるポスターを見て名前を覚えたのであれば,ポスターもメディアですから●ですね。

じゃあ,○の数を数えてください。ゼロから1個の方?あっ,ほとんどですね。◎の数がゼロから1個の方?ああ,半分ぐらい。じゃあ2,3個の方もいらっしゃるようですね。あとはみんな●ということになるわけですね。

さらにもう一問,◎について。友だちや家族から情報を得た人,じゃあ友だちや家族はどこから情報を得たのでしょうか。もし,やっぱりそれはメディアじゃないの?という場合には,その◎を黒く塗りつぶして●にしてください。その人は自分の目で確かめたのだろうという人は,そのまま◎にしておいてください。

この作業をやっていただくとお分かりのように,最近知ったことのほとんどはメディアから得ているということです。どんどん日常生活範囲が大きくなっていますから,例えば着る物もそこら辺の工場で作られたものではなく遙か中国からやって来たりとか,どこかの国からかどんどん輸入されている。行動範囲もどんどん広がって,私もつい昨日は東京へいたはずなのに今はここにいる。一昔前まではちょっとした狭い範囲で気心知れた人間関係だけで情報交換していれば良かったのに,もうそういう時代は確実に終わってしまいました。選択の余地無く,否応なく,メディア経由の遠くからの情報を,あるいは遠くへの情報のキャッチボールをせざるを得なくなってきている。
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